EarFun Air Pro 4ワイヤレスイヤホン(黒色、ケース付き)とSennheiser BTD 700 Bluetoothドングル(USB-C接続)を並べて配置した製品写真

EarFun Air Pro 4とSennheiser BTD 700の組み合わせ

はじめに

ワイヤレスイヤホンでのゲーミング用途において、遅延は最大の課題の一つです。今回は、EarFun Air Pro 4とSennheiser BTD 700の組み合わせを用意し、ゲーミングヘッドセットに匹敵する低遅延性能が実現できるかを検証しました。

製品概要

EarFun Air Pro 4

  • ドライバー: 10mm径ダイナミック
  • Bluetooth: 5.4対応
  • 対応コーデック: aptX Lossless / aptX Adaptive / LDAC / SBC / AAC
  • バッテリー(ANC OFF): 11時間(単体)/ 52時間(ケース込み)
  • バッテリー(ANC ON): 7.5時間(単体)/ 35時間(ケース込み)
  • 防水規格: IPX5
  • 重量: 5.2g(片側)

Sennheiser BTD 700

  • Bluetooth: 5.4 Class 1対応
  • 対応コーデック: aptX Lossless / aptX Adaptive / aptX / LC3 / SBC
  • 低遅延対応: Gamingモード搭載
  • 対応OS: Windows 10以降、macOS、Android 13以降、iOS(USB-C対応)
  • 重量: 約2.2g(ドングル)

スペックに記載のない事項について

対応コーデックに記載がありませんが、両製品ともLE Audio、TMAP、GMAP、LC3、aptX Lite(QMAP)に対応しています。
aptX Lite(QMAP)はQualcommの独自コーデックおよび独自プロトコルです。

遅延性能テスト結果

測定結果のハイライト:
LE AudioのGamingモードを使用した場合、12-14msの低遅延を実現。
ゲーミングヘッドセットと同等レベルの性能を確認しました。

詳細測定結果

※ 測定にはSuperpowered Web Browser Audio Latency Test Widgetを使用。システム固有遅延(136ms)を除いた実測値

デバイス 接続方式 遅延(ms) 評価
SONY INZONE H5 2.4GHz独自 11 優秀
EarFun Air Pro 4 BTD 700 aptX Lite Gaming(QMAP) 12 優秀
EarFun Air Pro 4 BTD 700 LC3 Gaming(GMAP) 14 優秀
Razer BlackShark V2 Pro 2.4GHz独自 21 良好
EarFun Air Pro 4 BTD 700 aptX Adaptive Gaming(LL) 79 普通
EarFun Air Pro 4 BTD 700 LC3 Standard(TMAP) 97 普通
EarFun Air Pro 4(ゲームモード) Windows11 標準Bluetooth AAC 121 遅延あり
Apple AirPods Pro 2 Windows11 標準Bluetooth AAC 184 遅延大

音質評価

比較対象のRazer BlackShark V2 Pro(2023)、SONY INZONE H5、JBL Quantum TWS、Apple AirPods Pro 2の中で最も良好な音質を実現しています。

音質の特筆すべき点

  • 適応イコライザーの精度が高い
    個人の聴力特性を反映するモードの完成度が高く、自然で心地よい音質を実現

装着感とバッテリー性能

装着感

Apple AirPods Pro 2とほぼ同等の軽やかな装着感を実現。うどん型特有の軽さで長時間使用でも疲れにくい設計です。

おすすめ: 付属のイヤーピースよりもAZLA SednaEarFit MAX for TWSなど、サードパーティ製への交換を推奨

バッテリー持ち

低遅延モード+外音取り込み有効でも実測で6時間の連続使用が可能。ワイヤレスイヤホンとしては十分な持続時間です。

  • ✅ 通常使用: 11時間(単体)
  • ✅ ANC使用: 7.5時間(単体)
  • ✅ ゲーミング用途: 6時間(低遅延+外音取り込み)

ANC・外音取り込み機能

外音取り込み

Apple AirPods Pro 2には及ばないものの、サイドトーン(自分の声の聞き取り)用途としては十分な性能。

おすすめ設定: 「バランス」モード
(デフォルトは外音が強調されすぎる傾向)

ノイズキャンセリング

家庭内使用では十分な性能。圧迫感の少ない自然なANC効果を実現。

おすすめ設定: 「バランス」モード
(デフォルトは圧迫感が強すぎる場合あり)

課題と注意点

重要な制限事項

高い低遅延性能を実現する一方で、いくつかの課題があります。購入前に必ずご確認ください。

安定性の問題

LE Audio Gaming モードの不安定性

  • 数時間安定することもあれば、10分程度で不安定になることも
  • 不安定時は左右の同期ズレや音質劣化が発生
  • 不安定時にゲームとDiscordを同時に再生すると、Discordの音声のみ左右の同期がズレる
  • 再接続時にコーデックが選択できなくなる場合がある
  • LE Audioが一度選択できなくなると、選択するために再ペアリングが必要

コメント

LC3(GMAP)はかなり不安定なため推奨できませんが、aptX Lite(QMAP)であれば一度接続が安定すればイヤフォンを切断するまでは使えそうです。
ただしコーデック選択がうまく動かない場合があるため、再接続時には注意が必要です。

音響面の課題

定位の不安定性

LE Audio Gamingモード使用時、左右同期のふらつきにより定位感が不安定になることがあります。FPS系ゲームでは注意が必要です。

無音時ノイズ

LE Audio Gamingモード使用時に若干のノイズが発生。Standard モードでは発生しないため、ファームウェア改善の余地があります。

マイク性能

マイク機能は搭載されているものの、音量・音質ともに実用レベルに達していません。LE Audio(TMAP)使用時はBluetooth Classic(HSP)に比べてイヤフォンで聞く側の音質低下が最小限に抑えられることは確認できましたが、実用性は低いと言えます。

Sennheiser BTD 700をWindowsで使用する際の推奨設定

  • Sennheiser Dongle Controlアプリを使用してaptX Lite(QMAP)に設定します
推奨設定の画面キャプチャ

推奨設定の画面キャプチャ

EarFun Air Pro 4をWindowsで使用する際の推奨設定

  • タッチ操作: 必要最低限の設定(誤動作防止)
  • 装着検出: 無効
  • ANC/外音取り込み: バランスモード
  • ゲームモード: OFF(BTD 700接続時は意味がない)

コーデック選択の指針

用途 推奨コーデック 遅延 安定性
ゲーム aptX Lite Gaming(QMAP) 12ms ⚠️ やや不安定
ゲーム・動画 aptX Adaptive Gaming(LL) 79ms ✅ 安定
動画・音楽 LC3 Standard(TMAP) 97ms ✅ 安定

総合評価とおすすめ用途

ユーザー別おすすめ度

おすすめする人

  • ワイヤレスイヤホンでゲームを楽しみたい方
  • マイクは別で用意できる方
  • 音質も重視したいゲーマー
  • 新しいガジェットに挑戦したい方

注意が必要な人

  • 安定性を最重視する競技ゲーマー
  • マイク機能を重視する方
  • 完璧な定位感を求めるFPSプレイヤー
  • 設定変更が苦手な方

項目別評価

音質

★★★★★

優秀なイコライザー

遅延性能

★★★★★

ゲーミング級の低遅延

安定性

★★☆☆☆

改善の余地あり

装着感

★★★★☆

軽快で快適

バッテリー

★★★★☆

十分な持続時間

マイク

★☆☆☆☆

実用性に欠ける

主な利点

  • ゲーミングヘッドセット級の低遅延性能(12-14ms)
  • 優秀な音質と適応イコライザー
  • 軽快な装着感と十分なバッテリー持ち
  • 多彩なコーデック対応

主な課題

  • LE Audio Gamingモードの安定性
  • 定位感の不安定性
  • マイク性能
  • 設定の複雑さ
  • 再接続時の不具合

まとめ

総合判定

EarFun Air Pro 4とSennheiser BTD 700の組み合わせは、ワイヤレスイヤホンでありながらゲーミングヘッドセットに匹敵する12-14msの低遅延を実現する注目すべき組み合わせです。

将来性について

現時点では完璧とは言えませんが、ワイヤレスイヤホンでのゲーミング用途において興味深い可能性を示す組み合わせと言えるでしょう。一部不安定な部分について今後のファームウェアアップデートにより改善されれば完璧な組み合わせとなるでしょう。

💡 ワイヤレスゲーミングの新たな選択肢